手ごろなサイズで何度も読み返せるルノワール入門本おすすめ度
★★★★★
美麗で豊富な写真と資料で読みやすさと見やすさに定評のある「知の再発見」シリーズの本はどれも良本ですが、本書も例外ではありません。
モネやセザンヌ、レオナルドダヴィンチ、ゴッホやピカソの本と同様、ルノワールの代表作を、良い写りの状態で通覧・鑑賞できるのが最大の特色です。本のサイズという制約上、絵は小さいですが味わい深さは大判の画集の本と比べても遜色ありません。手がリウマチで変形したルノワールが、晩年に弟子に指示して作った彫刻も本書で紹介されています。
巻末の資料(同時代または後世の人による評伝、書簡、ルノワール語録)も充実していて、彼の人柄と絵画への姿勢などがうががえます。個人的には、本書には日本語版としての補足として、ルノワールの下で修行した梅原!!三郎のルノワール評も収録して欲しかったところです(興味のある方は、例えば「まんが印象派の画家たち」2巻を参照)。
以上で私が挙げた箇所は細かい事なので、ルノワール初心者やファンの方が読むのには問題ありません。本書は翻訳も読みやすくお勧めです。彼の作品全てにある命の温かさと輝きを是非味わって下さい。
概要
「印象派」という枠組みにとらわれることなく、絵画制作を純粋に楽しむという姿勢を貫いたルノワール。その作品はもちろん、習作、下絵、書簡に至るまで、あらゆる資料を駆使して偉大な画家の実像に迫る。