意外と大人も知らない「印象派の基礎知識」 おすすめ度 ★★★★★
青少年向けの本ではあるが、大人にも十分楽しめる内容であった。「印象派」と聞くと何やら良さそうな響きだと思っても、実はモネの睡蓮、ルノアールの裸婦くらいしか思いつかないという人も案外多いのではないだろうか。実は私もその一人であったが、本書はそんな人にとって非常に有難い一冊である。何しろ印象派の成り立ちから技法の説明、加えて印象派周辺の画家たちについて、実に簡潔に書かれているからである。青少年向け図書であることを意識してか、武富氏による翻訳も実に明瞭で滑らか。読みやすいので、つい先へ先へと読み進みうちに、最後まで一気に読み通してしまった。しかも本書は簡潔なだけではなく、ツボはしっかりおさえていて、「どこかで聞いたことあるけど、それってなんだっけ?」という疑問に結構な確率で答えてくれる。私の場合は例えば「ナビ派」とか、どういうクループで誰が所属していたのか良く分からなかったし、ブーダンとカイユボットという画家たちについても、名前は知っていても、どういう活動をした人なのかはよく知らなかった。本書を読み終わってからは、そういった幾つかの疑問が解決し、「痒いとことに手が届いた」ような気分だ。今度、「印象派展」に足を運ぶときには、今までと少し違った見方が出来そうな気がする。脳の吸収力が良い青少年諸君にも、脳が少々弱っている中年仲間にも、また高齢者にも是非お勧めしたい一冊である。
概要
クールベ、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーガンたち19世紀後半にフランスで活躍した画家たちの、時代の変化にともなう作風や生きかたを、わかりやすく描きだす。
内容(「MARC」データベースより)
これまで室内で描かれていた絵画が、自然の風景や、光のゆらめきを追い求めて、戸外へ出て一瞬の動きをゆたかな色彩で表現しはじめた。ルノワール、ドガ、ゴーガン、ゴッホなど、よく知られた作家の作品と共に時代を読み解く。
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