不老不死で死ぬおすすめ度
★★★★★
この映画、ひさしぶりに観た。 15年くらい前に、おそらく30回くらいは観た。
それからピタッと観なくなって、 そしてひさしぶりに観たくなった。
ヌーベルヴァーグの名作と云われるこの映画。
右脳のみで観るのが、気持ちいい。 シックリくる観方だと思っている。
(左脳使うと「はぁ?。」と、摩邪みたいなリアクションになる。ボクの場合。)
ジーン・セバーグの髪型や、 ジャン・ポール・ベルモントのファッションや仕草。
かなり洒落てるのだけど、 今回は一言一言の台詞にベクトルが向いてた気がする。
「愛されたいのと同時に愛されたくないのよ。」
「傷心と虚無。どちらを選ぶ?」「傷心は妥協だ。おれは虚無を選ぶ。在るか無いかだ。」
「人生最大の野望は?」「不老不死で死ぬこと。」
ヒトのココロというものは、 対極の意味を持つそういうものをいつも同時に、
しかも同じ場所に抱えているものなのかもしれない。
どちらかでなく。しかも幾対も。
とても正確な描写だと思った。
これぞフランス映画!おすすめ度
★★★★★
ゴダールの作品を見るといつも「フランス映画だなぁ〜」というのをものすごく強く感じますね。映画は世界各国で作られていますが、こういった作風はゴダールが第一線で活躍していたこの当時のフランスでしか生まれなかったとおもいます。
警官殺しの悪党とアメリカ女との恋、極ありきたりな題材に、セットも無ければスタジオ撮影もCGも無い。それなのになぜこれほどまでに印象に残る映画を作れるのか、結局、才能以外の何物でもないのでしょう。
この映画のかなで、途中ハンフリー・ボガードのポスターがアップになって映されますが、この映画のカッコ良さはボガード的なものではないですね。ハンフリー・ボガードの映画はハードボイルド系の作品が多くて、一本筋の通った男のカッコ良さを表現した作品が多いですが、この映画の場合には一本筋が通っているというよりも、愛したり愛さなかったりもしくは強かったり弱かったり、そんな感情の狭間に漂う人間のカッコ良さを描いている感じがします。
ラストシーンで主人公の男が倒れた後、口から「プカッ」っと煙草の煙が出てくるのですが、こういったカッコ良さは最近の映画では絶対に見ることができませんね。
こういういい映画を青春時代にスクリーンで見て大人になった人達は、きっと素敵な大人になっていることでしょう。
誰にでも薦められるものではありませんが。おすすめ度
★★★★★
久しぶりに見ました。ですが今見ても全然古さを感じさせないところがすごいですね。それどころか見るたびに新しい発見があります。ごく単純なストーリーの底に普遍的なものが流れているからなのでしょう。この映画に代表されるような常軌を逸するほどのやさしさを持った男はフランス映画によく出てきますが、悲しいことに女にとってはそのやさしさが疎ましくなるときがあるのですよね。しかしこの男はほかの誰もが出来なかったことをやってのけました。それが「不老不死で死ぬ」ことだったのです。それはまさにこの映画が長年見つづけられているということで証明しています。
概要
ジャン・リュック・ゴダール監督の長編デビュー作にして映画史上に輝く革命的傑作。警官殺しの小悪党(ジャン・ポール・ベルモンド)が、パリにやってきた米国娘(ジーン・セバーグ)に惚れるが裏切られ、路上で警察に射殺される。要約すればこれだけの話を、イタリアン・ネオレアリズモにならって撮影所ではなく、部屋や街路で昼夜かまわずルポルタージュのごとく、手持ちカメラで2人の軌跡を活写。その即興的演出、ジャンプ・カット中心の編集は追随者を次々と生んだ。 実話系週刊紙から原案を提供したのはフランソワ・トリュフォー、監修に名を連ねたのはクロード・シャブロル。批評家仲間で、先に監督進出していた彼らの友情のもと、ゴダールはB級犯罪映画へのオマージュをこめて製作。ヌーヴェルヴァーグの永遠のシンボルといえる1本。(轟夕起夫)