演劇出身のパトリス・シェローを知ってください。おすすめ度
★★★★★
この監督パトリス・シェローはフランス演劇界で名を売り、ワーグナー没後100年の「世紀のワーグナー」でもう一人のフランス人音楽家ピエール・ブーレーズとコンビを組んでニーベルングの指環を演出し「物議と賞賛」を巻き起こしそれで徹底的に有名になった人です。
あの悪名高きサン・バルテルミーの夜を再現した死体の置き方の背景には日本の「暗黒舞踏」が元になっているような気がします。(1980年にワルキューレの第三幕を見たとき当初の死体の置き方がそうだったのでそれの踏襲で、より洗練(?)された感じです。いまやバイロイトを始めワルキューレ第三幕の殆どはシェロー・スタィルが一般的になってますが。)
またイザベル・アジャーニの綺麗な女優さんなのに汚れを厭わない突撃振りが「サービス」精神旺盛な所で素敵です。お時間ありましたら彼女が出演している「ポゼッション」を是非観て下さい。
又BGMのエロ・ハイ(音楽ゴラン・ブレゴビッチ)を歌うオフラ・ハザのシャープな声がきりりと締めています。サン・バルテルミーのサバト的な音楽も美しい。人物を捉えてたカメラワークの単調さが(近視的)少々気になる人もいるかも知れないが、私はこの映画は文句なしの星五つを挙げておきたい。
激しい競演絵巻。おすすめ度
★★★★☆
うす暗ぁ〜いフランスの、宮廷の、王室の、ドロドロ〜〜っとしまくりのストーリー。歴史もの、時代劇ものへの興味で見てみたら、びっくり。内容は女優対男優。火花バチバチの競演。どうやら近親相姦なんかも普通〜に行われてしまっている王族の、夜は男を求めるのが当たり前かのようにあどけない表情のイザベルアジャーニ、さりげない演技。ジャンユーグの、権力争いに見せる過剰なまでのキッモチ悪い幼児性表現にはサービス過剰なまでの演技力を感じました。
すごいですよ。かと言って決してゲテモノ映画ではありませんよ。ああ恐ろしやフランス王家。
濃ゆく豪華な、見応えたっっぷりの映画でした。
『仮面の男』とは比較になりません。おすすめ度
★★★★★
ヴァロワ朝末期のフランス。長く続いたプロテスタントとカトリックとの抗争に終止符を打つべくプロテスタント側の頭目アンリ・ド・ナヴァール(のちのブルボン朝最初の国王アンリ4世)と国王シャルル9世の妹マルゴが結婚する。
しかし数日後のサンバルテルミーの祝日の日、カトリック教徒達は結婚式の祝祭のためにパリを訪れていたプロテスタントたちに襲いかかる。サンバルテルミーの大虐殺である。街のあちらこちらで繰り広げられる殺戮。そして…
三銃士などで有名なデュマの傑作を基に、フランスが総力を挙げて作製した映画。ハリウッド映画とは違い、時代考証がしっかりとなされており、お気楽なハッピーエンドではなく、考えさせられる形で話は終わる。
できればこの作品は見る前にその時代について一通り学んでおいたほうが理解しやすいだろう。
美しくて残酷で切ない感動作おすすめ度
★★★★★
この映画を見てイザベル=アジャー二のファンになりました。
隅々まで完璧な配役、そして熱演。重厚で物悲しい音楽、落ち着いた美しい映像、豪華な衣装、切ない物語。
DVDの美しい画質で永久保存するに相応しい名作だと思います。
廃盤になったのだとしたらとても残念です。
サントラもお勧め。
いい感じです。
おすすめ度 ★★★★★
フランス映画ファンな人なら、もう、入り込める作品でしょう。
制作費が当時のフランス映画史上で最高だったなんてキャッチが予告編にあります。
これって、役者さんたちのギャラに消えたのか?と、思うぐらい僕にとっては、豪華キャスト。
つうか、主役級の人を何人もたてちゃう。
他の方々も、書いてますが、オートィユとアングラート。
日本で言うなら、佐野史郎と竹中直人が同時に出る感じなのか?
わからんけど、しぶい。
あの二人が、同じワンカット会話するだけでなんか、不思議。
感激。
あとねぇ、イザベルアジャーニすごいですね。
それまで、知らなかったけど、「項羽と劉邦」に出てきたコン・リーみたい。
弱さと強さ。色っぽさと狡さが同居した感じ。
彼女の新作を観たくなった。
なんか、ズルそうな女の人とか意地悪な感じの人が出てくるんだけど、
そういう人らの描写が、うまいよね。
或いは、人間の悪の部分、悪ふざけの部分が怖い。男も、女も。
殺戮シーンもさることながら、人間観察に、惹かれます。
監督すごいな。演技のバランスが取れてるような取れてないような。
メインで焦点があってる役者の後ろの人も気を抜いてない感じが、グッと。
絵的には、中盤から終盤の風景の描写が、きれいな感じ。
前半は、婚礼シーンから始まって正装してたりして、誰が誰だか、
分からなかったので、オープニングから20分ぐらいは2回みて、
ああああ、なるほど、って感じかな。
歴史は知らないです。
でも、結局、宗教戦争の名を借りた政治戦争って多発テロじゃないけど、ずっと続いてるのね、という感じが分かりました。
概要
文豪アレクサンドル・デュマの原作を映画化。16世紀のフランスで、国王シャルル9世を擁するカトリックのヴァロア家と、新教徒プロテスタントのブルボン家による対立が激化する。国王の母は、末娘のマルゴを新教徒勢力のナバール公アンリと結婚させ、宗教戦争を沈静化させようとするが…。
イザベル・アジャーニ演じるマルゴを中心に、宮廷での人間模様がおぞましいほどドロドロに展開。注目はマルゴの人物造形で、男を探しに街をうろつき、ほとんどセックス中毒のようだ。そんな彼女を通し、欲望のままに愛することの大切さが伝わってくるのも事実で、パトリス・シェロー監督の人間に対する洞察力によるものだろう。本や口紅に毒を塗っての暗殺劇や、エロティックなラブシーンにも驚くが、もっとも印象に残るのは宮廷内や街に累々と重なる死体の描写。そのリアルさには目を背けたくなるのと同時に、宗教や思想による殺りくの愚かさが突きつけられ、作品の存在意識が感じられる。(斉藤博昭)