未来のないホームレス、失明寸前の絵描き、命があるだけのその日暮らし。一見、最低のように見える状況の中でも、不器用にエゴイスティックに、そして捨てきれぬ過去にまみれながら、人は人を必要とし、そして愛してしまう。そんな矛盾や葛藤や汚らしさを、容赦なくこの作品は描いている。そしてそれら全てを突き抜けたところにある、人間の、そして愛の素晴らしさも! それまで持っていた自分の、薄べったくて豊かでない愛についての理解を、根本からぶち壊されるくらいの衝撃作。この作品のさらにすごい所は、年齢を重ねて観る度毎に、全く違う意味と解釈を与えてくれるという点。数年おきにこの映画を観る度に、私も右往左往しながら、少しは成長したのかしら、と思う。
激しくも素晴らしいラブストーリーおすすめ度
★★★★★
カラックス監督は資金難から何度も見舞われたが、執念でクランクアップした映画である。
その気持ちが映画を見てると強く伝わってくる。
人間の見えない心部分を表現するのはこの監督の真骨頂ともいえる。
目の奇病に悩み人生に絶望していたミッシェルはポンヌフの橋に寝泊りする
アレックスとは恋に落ちる。
しかし、目が治るということを書いたポスターを両親がパリ中に貼った。
娘に家に帰ってほしいからだ。
そのポスターにアレックスは火をつけて次々と燃やす。
その燃やす様は見ていて悲しくもあり、刹那的で美しくもある。
行き場の無い恋に燃える二人はどうなるのか?
当時工事中だったポンヌフでの撮影が出来なかったため、カラックスは
大きなセットを作ったという。
それほどの、意欲と執念で作られた映画だということは見てて伝わってくる。
こういう恋もあるんだ、こういう映画の作り方もあるんだということを思い知らされる。
心に残る映画ってこういう映画を言うのだろう。
ホームレスのラブストーリー
おすすめ度 ★★★★★
パリを舞台にした壮大なホームレスのラブストーリー。激しい気性の二人が汚い服と場所で感情をむき出しにして繰り広げる気の滅入る世界。しかし、ラストで「綺麗」になった二人が橋で再会するシーンのスリルも凄かった。長い人生、こんな二人の様に激しくなるときが自分にはくるのだろうかと、しんみりしました。
概要
天涯孤独の青年と失明の病に冒され絶望にかられる画学生との恋を描いた、レオス・カラックス監督が3年の歳月を費やした感動のドラマ。