視ることの感動 おすすめ度 ★★★★★
ルーブル美術館訪問ほど肉眼で捉えたような画面はないだろう。実際にそこにある彫像、絵画そのままがそこにある。その映像が何を意味するかといったことではなく、ただその対象がそこに存在する。これこそが視るという行為であろう。また、どこか詩を唄うようなフランス語が音響効果を成している。
映画という体験は、物語りを観る以前に、目の前で今、ただ写っている映像を視るという行為の快楽であるといっても良いのではないだろうか(といっても、面白い物語のものにも快楽はあることはもちろんだと思います)。一種の視覚効果、それこそが映画の魔術であり、そこに感動があるのだろう。
ルーブル美術館訪問はその感動を再確認させてくれる。要はすごい面白い映画です!
概要
セザンヌの過激な絵画観に肉迫する ストローブ=ユイレ監督の異色の記録映画2編
世界初ソフト化 日本劇場未公開
短編『アン・ラシャシャン』『ロートリンゲン!』も同時収録(いずれも世界初ソフト化、日本劇場未公開)
監督自身の監修したオリジナル・マスター使用
特典として、解説リーフレット封入。
【解説】
ストローブ=ユイレの映画は「観ること、聴くこと」の苛酷な訓練としてきわめて特異である。ジョアシャン・ギャスケが記憶のなかで再構成したセザンヌの言葉に触発された2本の映画。それは実物の絵画を直接撮影しているという点では記録映画とも言えるが、セザンヌという人物の虚構化された言葉を劇的に再虚構化しているという点では劇映画にも近い。
『セザンヌ』はセザンヌの何点かの絵画、セザンヌが観たであろう風景のショットのほか、ジャン・ルノワールの映画『ボヴァリー夫人』(33)ヘルダリンの未完の戯曲に基づくストローブ=ユイレの映画『エンペドクレスの死』(86)の抜粋を含む。
『ルーヴル美術館訪問』は、セザンヌが観たとされる何点の絵画・彫刻、セザンヌが観たであろう風景のショットのほか、エーリオ・ヴィットリーニの未完の小説に基づくストローブ=ユイレの映画『労働者たち、農民たち』(2001)の冒頭のショットを含む。
同時収録の16ミリ短編『アン・ラシャシャン』(72)は、学校教育に対する小学生の反抗を扱ったマルグリット・デュラスの絵本用の童話『ああ、エルネスト!』の映画化。
また『ロートリンゲン!』(94)は、国家への帰属という問題を扱ったモリス・バレスの小説『コレット・ボドッシュ』の一部を圧縮再構成したうえ、その舞台となったロレーヌ(ロートリンゲン)地方のメス(メッツ)近郊で撮影されている。
<内容紹介>
●『セザンヌ』
【スタッフ・キャスト】
監督・脚本・編集:ダニエル・ユイレ、ジャン=マリー・ストローブ 原作:ジョアシャン・ギャスケ「セザンヌ」 撮影:アンリ・アルカン 朗読:ダニエル・ユイレ(セザンヌ)、ジャン=マリー・ストローブ(ギャスケ)
●『ルーヴル美術館訪問』
【スタッフ・キャスト】
監督・脚本・編集:ダニエル・ユイレ、ジャン=マリー・ストローブ 原作:ジョアシャン・ギャスケ「セザンヌ」 撮影:ウィリアム・ルプシャンスキ、レナート・ベルタ 朗読:ジュリー・コルタイ(セザンヌ) 、ジャン=マリー・ストローブ(ギャスケ)
●『アン・ラシャシャン』
【スタッフ・キャスト】
原作:マルグリット・デュラス「ああ、エルネスト!」 撮影:アンリ・アルカン、ドミニク・ジャンティル 出演:オリヴィエ・ストローブ(エルネスト)
●『ロートリンゲン!』
【スタッフ・キャスト】
原作:モリス・バレス「コレット・ボドッシュ」 撮影:クリストフ・ポロック 出演:エマニュエル・ストローブ(コレット・ボドッシュ)
内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
映画の極北を提示し続ける孤高の映画作家、ダニエル・ユイレとジャン=マリー・ストローブの作品集第3弾。セザンヌの言葉に触発されたジョアシャン・ギャスケの原作を映画化した『セザンヌ』をはじめ、『ルーヴル美術館訪問』と2編の短編映画を収録。
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