こんな歌手はもういないのでしょうか おすすめ度 ★★★★★
風の吹く野外劇場という条件の中で、これほどの歌唱をすることの出来る歌手は、今どれほど居るのでしょうか。 怒涛のような声と旋律に、胸倉をわしづかみにされたまま、掻っ攫われてしまう…と言う表現しか出来ません。 なにしろカバリエが素晴らしいのひとこと。 激しいパッセージも切々と歌い上げる場面も文句のつけようがありません。 声そのもののスケールの大きさ、落ち着いた、貫禄いっぱいの演技、どれをとっても100点満点。 ほかの歌手たちも同様で、全体的な演奏の水準は、ほかに幾つか発売されている他の盤と比較してみても際立って高いことがわかります。 現在こういう歌手はどれほど存在するのでしょうか。 技術的にはしっかりしていても、声の魅力を前面に押し出し、これでもかと迫ってくる歌というのを最近は聞かなくなって久しいように思います。 (声が大きいだけじゃだめです。正しく「味わい」のある声でなくては) 演出の意図というものもあるかもしれませんが、ちょっと昔のように、歌手が持っている美声と技術を前面に出してたっぷりと歌って見せる、そういうオペラをもっと聴きたいと思うのは私だけでしょうか。
概要
ヴェルディ没後100年記念作品としてリリースされる、オランジュ古代劇場での演奏を収録した1枚。出演はピータ・グロソプ、モンセラット・カヴァリェ、イリナー・アルヒーポヴァなど。映像監督はオペラ界の第一人者、ピエール・ジュルダンが努めている。
内容(「Oricon」データベースより)
1972年、フランスのオランジュ古代劇場で行われたコンサートの模様を収めた作品。
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