ルーヴルは墓場である。おすすめ度
★★★☆☆
〜ルーヴル宮殿はフィリップ・オーギュストの城砦(1190年)から「壮大な計画」の完成(1890年)に至るまでに、セーヌ川の右岸ににその領域を次第に拡大していった。元来美術館としてではなく、宮殿としての建築だった。(詳しくはルーヴル美術館公式HP参照)宮殿という機能は途絶え、現在そこには静謐な美術品が鎮座している。まるで墓場のように。〜〜
美術品はさながら死者の魂のように映し出される。執拗なまでに繰り返しフィルムに収められた古い絵画の中の人間の顔。そして彫刻作品の中の瞳。当然現代にはその制作者達も、あるいはモデルになったであろう人間は誰一人として生き残っていない。ただその中にはひとつひとつ例外なく制作者の魂が存在し続ける。〜〜
墓場のモチーフは全長15kmに及ぶ地下道のシーンによって強調される。カタコンベのような地下迷宮空間には骸骨のように美術品が収蔵されている。彫刻の寸法を黙々と計る男はさながら棺桶職人のようだ。〜〜
死せる空間を描く手法として監督は自らの不在を強調し、墓場で起こり続ける現象を常に日常の断面として描くよう試みている。“監督の不在”。それはドキュメンタリー映画としてはなんとも異様に感じられる。例えばこの映画ではナレーションを使用していない。ドキュメンタリー映画では対象となる人物を描く際ナレーションで説明を補う事が多い。ストーリー〜〜のある映画のように順序に従えば内容を理解できるジャンルではなく、対象となる人物が“撮影”以前から複雑な状況をあわせもっている事が多いからだ。あるいはナレーションとは言わず人物に直接インタビューを行い説明的になるシーンを付加するという撮り方もあるだろう。“ナレーション”と“インタビュー”はイコール“監督の存在”である。対象となる人物〜〜を情報として咀嚼する必要があるからだ。〜〜
つまりこの映画で対象としているのは“ルーヴルで働く人達”ではなく、あくまでも“ルーヴル美術館”という空間なのだ。空間との対話に監督は意図的に“無言のインタビュー”をし続けているかの様に。映画には様々な魅力的な人々や興味深い作業風景が登場する。だが彼らはあくまでも名脇役であり主人公ではないのだから。今はいない人達の墓場の物語。〜〜
誤解を招かないように書き加えておくが、“ルーヴルで働く人達”はとても生き生きとしていて愛らしさすら感じる。素晴らしく見応えがある映画。だが映画の演出がまずいのも事実。妙なBGMや演出過多な(やらせっぽい)職員の描き方は少々いただけなかった。〜
静謐という言葉が似合う。おすすめ度
★★★★☆
世界最大の美術館ルーヴル。1200人の職員、15kmの地下通路。そんなルーヴルの日常を、BGMも説明もほとんどなしで綴る。
収蔵品が非常に多く、古いものも多いので常に修復作業をやっていることも分かる。掛け替えの時の緊張感は美術好きには絶句もの(まぁ作業してる人たちは淡々と指示通り動いてるのだけど)。
画質は少々荒れ気味で不満が残るが、美術についての解説は全くなく、好感が持てる。
すこし説明不足では?おすすめ度
★★★☆☆
ルーヴル美術館に初めて入ったドキュメンタリーのカメラ。今回の主役は美術品ではなく、そこで働く1200もの職員。学芸員、補修員、警備員、果てはコック(シェフというのかな?)まで、一通りカメラにおさめています。
残念なのはそれらが全て映像だけで終わっていること。この映画は重要なせりふがほとんどありません。雑談や指示の声などが少しあるだけで、BGMもほとんど無いとても静かな映画になっています。彼らの行動を淡々と見せて観客に全てをゆだねるという作り手の意思でしょうけれど、インタビューすらありません。
扇情的な音楽や興味深いインタビューを期待して見ると拍子抜けしますが、なにも考えずに見ると興味深いと思います。
墓地のようなおすすめ度
★★★★☆
閉館時のルーヴルの中はまるで墓地のように静かで
飾られた額縁は墓石、作品は死者の魂のようにひっそりとそこに佇み
来館者を待っているような印象を受けました。
なかなか見られる物ではありませんが
見てはいけないような気にもさせるような巨大な地下通路は
まるでピラミッドの中の迷路を想像させられました。
監督はニコラ・フィリベールです。おすすめ度
★★★☆☆
監督はあの『ぼくの好きな先生』のニコラ・フィリベールです。
動物の記録映画なども撮っているとおもいましたが。
その点もこのページではアッピールしてもいいと思うのですが。
でもこの作品は1990年のものなのですね。
ここでも人々の日常の取り組みから
ドラマのようなものが浮き上がってきます。
ルーブル紹介の小冊子付きです。
映像は予想しているほど、鮮明ではありません。
また解説などがないので、画面に出ている人が
何をやっているのか、ちょっと戸惑います。
登場人物がもうちょいたくさんフランス語をしゃべって
くれるとフランス語の勉強にもなって
うれしいです。
概要
世界最大の美術館であるルーヴル。そこには膨大な数々の展示品に加え、計15kmの地下通路、4200枚の窓ガラスがある。そしてそこで働く人々は、学芸員、金メッキ師、大理石職人、清掃員、警備員、案内係、資料係、写真家、庭師、音響学者、物理・科学者、調理人、管理人、消防士などなど、その数ざっと 1200人。彼らが働くルーヴルの日常を、カメラが追っていく。
【映像特典】
●日本劇場公開版予告編
●オリジナル予告編
【特典内容】
「パリ・ルーヴル美術館の秘密」(約40ページ)ビジュアルガイドブック
内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
世界最大の美術館・ルーヴルの内側を初めて撮影したドキュメンタリー映画。約35万点の所蔵品を誇り、これまで美術品以外の撮影を許してこなかった舞台裏に撮影クルーが入り、美術品の魅力と共にそれらを守り続けたスタッフたちの姿を収める。
内容(「Oricon」データベースより)
約35万点の所蔵品を誇る世界最大の美術館ルーヴルの内側を初めて撮影したドキュメンタリー映画。美術品以外の撮影を許してこなかった舞台裏に迫る。