1999年大晦日のパリ。友人宅でカウントダウンパーティーを楽しむアルチュールは、恋人のリュシーに、21世紀になるその瞬間に向けて「子どもを作りたいの。」と懇願される。しかし、そんな彼女に思わずたじたじでその場を逃げ出すアルチュール。トイレに駆け込むと、天井になにやら怪しい穴が・・・。よじ登ってたどり着いた先は、そこはなんと2070年・・・未来のパリだった。しかしこのパリ、ハイテクどころか相当しけているのである。車はロバに。洋服は原始人スタイルに。そんな中待ち構えていたマッチョなお爺さんアコ。実はアルチュールの息子なんだが今、この21世紀の瞬間にアルチュールが覚悟を決めて子供を作らないと自分は存在しなくなってしまう・・と言う。そして未来のファミリー達も総出でアルチュールを追い回す。「今夜、ママが懐妊しなきゃ僕達の命はなくなっちゃうんだ。絶対しろ!」と。
ロマン・デュリス(クラピッシュ監督作に出演3回目。「青春シンドローム」でデビュー。素人だった彼を監督が見初めて、主役の一人に大抜擢したのだとか。いかにもなアホ役がばっちりきまる男。)の息子役がジャン=ポール・ベルモンドだなんて、全然想像もつかない。まあ、そんなことはどうでもいい映画。結構楽しむには丁度よい。
50歳年上の自分の息子にsexを促される!おすすめ度
★★★☆☆
ジャン=ポール・ベルモンド主演のコメディ。フランス映画らしいような、らしくないような、そんなコメディです。
ふとしたことで、70年先にタイムスリップしてしまった主人公。彼はそこで、おじいちゃんと呼べるほどの歳になった自分の息子に出会い、「今日セックスをしてくれないと自分が生まれないんだ!」と迫られます。
未来に行ったんだと言う説明がない上に、辿り着いた先が普通思い描くような未来都市ではないため、前提知識がないとしばらくついて行けないかも知れません。それにしても、未来の描かれ方がいかにもフランス的な気がします。スター・ウォーズの舞台にもなりそうな感じの荒廃した都市。未来というより、過去に戻ったと言った方がまだ納得できるでしょう。こんな未来になってしま㡊!のかなって少し寂しくなるところが、この作品のブラックなユーモアなのかもしれません。
しかし、父親になる決心をするまでの、主人公の葛藤には、現代の若者はみんな納得出来るでしょう。大した収入もないのに、子供なんてまだ早すぎる。いろいろ経験したいし、子供は邪魔なだけ。こんな風に、みんな考えるでしょうね。だから、主人公にすごく感情移入しやすいのです。
主人公の決意と、あなたの決意は同じか否か!あなただったらこの局面をどう乗り切るか!実はかなり深ーいこのテーマ。恋人と一緒に観ながら、熟慮してみてはいかが?
概要
新世紀を迎えようとしている大晦日のパーティー。24歳のアルチュール(ロマン・デュリス)は恋人リュシー(ジェラルディン・ペラス)から「今夜、子どもを作りたいの」とうち明けられるが、心も生活も余裕がない彼は戸惑う。会場のトイレから屋根裏へ繋がる通路を進むと、そこは70年後のパリだった。
単純にストーリーを読む限りでは、いわゆるタイム・トラベル映画と思われがちだが、そこはフランスの俊英監督セドリック・クラピッシュのこと。エンタテインメントの中にも、深いテーマ性を盛り込み、情報過多の時代に生きる主人公アルチュールの、モラトリアムな日常と将来への漠然たる不安をコミカルなタッチで描いている。(斉藤守彦)